JOAO GILBERTO(三月の水)
三月の水 / ジョアン・ジルベルト feat.ミウーシャ
・・・子守唄のような心地よさ・・・ ★5
ジョアン・ジルベルトのギターと歌にドラムだけというシンプルな構成で、
「ちょっとあわせてみよう」と始めたかのようなくつろいだ雰囲気。
ゆりかごのようなベース音に寝言のようなフレーズが繰り返される「ウンディユ」や、内緒話のような「三月の水」の、眠れ眠れといわんばかりの心地よさ。
弦の上を指が滑る音や微妙な声のふるえ、舌の音まで聴こえる臨場感のある音...。
ジョアンのアルバムには、こんな風にすぐそばで何気なく演奏が始まったような錯覚を与えるものが多いですが、このアルバムはその代表です。
その表情力の豊かさといったら南京玉すだれ並で、ギターひとつでよくぞそこまで...と驚かされます。
歌は拍の前や後にずれこみ、独特の揺らぎを生んでいます。
このアルバムはとっつきにくいという意見も聞きます。ボサノヴァというジャンルにすら収まりきらない、ジョアン独特の世界一色だからでしょうか。揺らぎ感のあるヴォーカルと、歌詞の代わりに繰り返される「ウンドゥイユ」やら「ボン、ボン」等のフレーズと、独特のリズムと、この上ない静寂。
山水画が誰にでも受け容れられないのと似ているかもしれません。ジョアン・ジルベルトが好きな人にとっては、彼の斬新さや個性が凝縮された、たまらない1枚だと思います。
このアルバムを聴いて思い浮かぶのは、
・・・スタジオでジョアンの妻ミウシャがうたた寝しているところへジョアンとドラマーが入ってきて、起こすまいと静かに演奏を始める。ハイハットにやさしく触れるブラシ音、ささやくようなヴォーカル、変化するギターの音色。
彼女が途中で目覚めたのに寝たふりを続けていることに気づいた2人は徐々にテンポをあげていき、9曲目が終わったところでジョアンが妻の髪にそっと触れて一言、さあ起きて一緒に歌おう
・・・という想像というか妄想。
ミウシャは最後の1曲「イザウラ Izaura」しか参加していません。「ゲッツ・ジルベルト・アゲイン」でも聴ける、ジョアンとのこのデュオ曲、好きです。
1973
Joao Gilberto, Heloisa Buarque de Hollanda(Miucha)
1. Aguas De Marco 三月の水
2. Undiu ウンディユ
3. Na Baixa Do Sapateiro バイーア(靴屋の坂道で)
4. Avarandado 夜明けのベランダ
5. Falsa Baiana 偽のバイーア娘
6. Eu Quero Um Samba 喜びのサンバ
7. Eu Vim Da Bahia バイーア生れ
8. Valsa ベベウ
9. E Preciso Perdoar 許してあげよう
10. Izaura イザウラ (feat.Miucha)



