JE DIS AIME - M

JE DIS AIME / エム(マチュー・シェディッド)

慣れるとハマる強烈な個性 ★4

セカンドアルバム”JE DIS AIME”は、I say "love"くらいの意味で、aime(エム)を名前のエムとかけています。
このアルバム発売時に公開されていたMのサイトを見ました。サイト名はアルバムタイトルを縮めた”JEDISAIME”。
Mの別名MATHIEU(マチュー)が聖書のMATTHIEU(マタイ)とつながるということで、「JERUSALEM(ジェリュザレム=エルサレム)の聖書」ともかけてあるのかもしれません。
そうだとすれば、名前のエム、「愛すAIME」のエム、エルサレム、と3重かけことばになりますね。
サイトのデザインはMのイメージとぴったりでポップ&キッチュ。内容も充実していて、試聴どころか、クリップビデオや曲を丸ごと何本も見せてくれるという太っ腹ぶり。片っ端から見せてもらうと、最初は違和感だらけに思えていたのに、コミカルでクールな独特の映像世界、音楽、外見にむしろ一貫性があるように感じ始め、愛着が湧いてきました。
何だか魔術にかかったかのよう。不思議です。

ところで、”JE DIS AIME”や”BONOBOO”の歌詞は祖母が書いたのだそうで。おばあちゃまの書いた詩にロック-ポップなサウンド。思い切りロックでクールなのにほのぼのしているというギャップがまたMらしい気もします。


1999 / Delabel
1. Monde Virtuel
2. Je Dis Aime
3. Onde Sensuelle
4. A Celle Qui Dure
5. Faut Oublier
6. Le Festival De Connes
7. Le Mec Hamac
8. Close To Me
9. Emilie 1000 Volts
10. Qui Est La Plus Fragile?
11. Le Complexe Du Corn Flakes
12. Au Lieu Du Crime
13. Bonoboo
14. Le Commun Des Mortels
15. Mama Sam

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M エム(MATHIEU CHEDID) ディスコグラフィ

◆M エム、マチュー・シェディッド (1971 フランス Boulogne-Billancourt生まれ)

強烈なギャップ、矛盾への慣れと愛着・・・

フランスの音楽TV番組でM(エム)を初めて見た瞬間、思いました。「これはきわどい。パタリロかデーモン小暮か?」

ふっくらした顔に、悪魔(というか魔法使いサリーのパパ)のようなM字型ヘアスタイル。ぽっちゃり体型に、肌を露出したポップで大胆な衣装。
日本だったらどう考えても芸人さんのいでたちです。お笑い番組が多い日本と違い、フランスのTVではこういう格好をする人が多くないので目立ちます。一瞬、M6(エムシス)局の専属芸人か何かと思いましたが、チャンネルが違うし…。おかしいなと思っているうちに、そんな彼が無表情にギターをかき鳴らしつつ歌い踊り<はじめました。珍妙な映像ですが、お笑いらしき気配はありません。
わけもわからずしばらく見ていると、違和感だらけの外見に反して、ギターも歌も妙にクールなことに気づき、またも落差に驚きました。

ずいぶん経ってから思い出して、Mのオフィシャルサイトを見ました。当時のサイト(jedisaime.com)では、ビデオクリップも曲も試聴どころか最初から最後まで丸ごと見せてくれていたので、気前のよさに感心しつつ、片っ端から堪能させてもらいました。
そして、得体の知れない妙な奴という第一印象が、見終わった頃には、愛着に変わってしまいました。
ポップなのにクール&ダークな独特の映像世界の中にいるMには、テレビで「現実世界の人間」に囲まれていた時の違和感がありません。
ぽっちゃりしたキューピッドのような土台に、悪魔のようなダークなイメージと60年代風ポップ感覚を混ぜたような外見も、コミックのキャラクターのようで、見慣れると魅力的に思えてくるんです、不思議なことに。
時々高音でフルフルとビブラートがかかるセクシー吐息まじりのヴォーカルも、初めは微妙だな~と思ったのですが、聴きなれると癖になり、今ではラジオでかかるとつい耳を澄ましてしまいます。
人間は相反する要素(矛盾)をはらんだものに惹かれるといいますが、まさにそのパターンにはまった気がします。

特にジミ・ヘンドリックスに影響を受けていると語るエム。ギターだけではなく、ベース、ドラム、パーカッション等いろいろな楽器をこなすそうで。
実は真面目な音楽青年だったりして?という気もしますよね。

言葉遊びの名手、Mという名前・・・

一文字という恐ろしく短い名前は、マチュー・シェディッド(MATHIEU CHEDID)の芸名です。
JE DIS AIMEという曲名にも現れているように、AIME(エム、愛す)にかけているようです。
コミカルな外見とあいまって、フランスでは愛をふりまくスーパーヒーローなんて言い方をされたりもしています。
名前だけでなく、彼の曲のタイトルや歌詞も、ユーモアと言葉遊びでいっぱいです。
父が歌手/作曲家のLOUIS CHEDID(ルイ・シェディッド)、母はジャーナリスト、祖母ANDREEは若い頃ダンサーを夢見ていた詩人。そんな言葉と音楽があふれた家庭環境の影響もあるのかもしれません。

フランスでの人気、コラボレーション、映画音楽・・・

フランスはすっかりMの魔術にかかっているようで、かなりの人気。 活動範囲も広がっています。
ARTHUR H(アルチュール・アッシュ)とのデュオでは会場中を笑わせていましたが、
ヴァネッサ・パラディのクールなアルバム”BLISS”をプロデュースしたり、
Louis Chedidのアルバムにギター参加したり、Jane Birkin ジェーン・バーキンの2002年のアルバム”A lA LEGERE”に参加したり…。
他にも多くのアーティストとコラボしつつ、RATPの電車内広告用の公募詩の審査員に加わったりもしていました。

映画音楽にもかかわっていて、ヴァンサン・ペレーズが監督した映画”PEAU D'ANGE(天使の肌)”で使われたCELINE B.とのデュオ曲”J’AI UNE PENSEE”は一時フランスでよくかかっていました。メランコリックで透明感のあるいい曲です。
2003年中頃には、SYLVAIN CHOMET(シルヴァン・ショメ)のアニメ映画”LES TRIPLETTES DE BELLEVILLE(BELLEVILLE RENDEZ-VOUS ベルヴィル・ランデブー)”のjazzyなテーマ曲が話題になりました。Benoit Charestとの共同作で、ジャンゴ・ラインハルトを思わせるスイング感、Mのギターとヴォーカルが最高にcool!この曲、好きです。

ベルヴィル・ランデブーベルヴィル・ランデブー サントラ ベルヴィル・ランデブー DVD 天使の肌 DVD

上のサイトで見た中で一番強烈だったのは、ブリジット・フォンテーヌの”Kekeland”での2人のコラボレーションでした。
坊主頭の異星人のようなブリジット、M字頭のエム。この2人がランラン仲良く楽しげに歌うクリップ、最高に濃厚です。妙にコミック的なあたり、2人の世界はそう遠くはないかもという気がします。Mがブリジット・フォンテーヌの世界に入ってもほとんど違和感ないですから。

Mのアルバム発売ペースは早くはありませんが、コンサートは大盛況。賞を受けたりもして、フランスでの人気はこれからも続きそうです。国外でなかなか知名度が上がらないのは、例の違和感だらけのきわどさと、歌詞の面白さが伝わりにくいせいでしょうか。
筒井康隆の言葉遊びを多用した小説が海外であまり翻訳されていないのと同じくらい、残念な気がします。

◆2005年12月追記:期間限定だと思いますが、アルチュール・アッシュとエムの二人が共演したEst-ce que tu aimes ?のビデオクリップが、アルチュールHのサイトで公開されています。これまた濃い組み合わせですね~。

キーワード :ワールドミュージック<フレンチ;オルタナティヴ・ロック;作詞作曲、ギター、ヴォーカル。映画音楽。

M サイト

お薦め共通項アーティスト・・・アルチュール・アッシュ


◆M (MATHIEU CHEDID) エム ディスコグラフィー

LE BAPTEME / 1997 / Virgin
JE DIS AIME / 1999 / Delabel
LE TOUR DE M (LIVE) / 2001 / Delabel
QUI DE NOUS DEUX / 2003 / Delabel

このジャケットのキッチュ&ポップなMをご覧あれ。遠目で見るとピンク一色ですが、林家ペーじゃありません。
LABO M / 2003 / Delabel
LIVE AU SPECTRUM (LIVE) / 2005 / Delabel
EN TETE A TETE (LIVE) / 2005
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