-M- Matthieu Chedid Discography
強烈なギャップと矛盾
フランスのテレビ局M6(エムシス)の音楽番組で-M-を初めて見た時は驚きました。
ふっくらした顔に、マンガに出てくる悪魔風のM字型ヘア(どうやって作るのか分からない)。
ぽっちゃりした体型に、肌を露出したポップな衣装。
お笑い番組が多い日本と違って、フランスのテレビではこういう人が少ないので目立っていて、
芸人兼ミュージシャン?と思っているうち、無表情にギターをかき鳴らして踊りながら歌い始めました。
ギターも歌もレベルが高く、違和感だらけの画とのギャップもあって、衝撃でした。
-M-は、初期の公式サイト(jedisaime.com)の頃から、ビデオクリップも曲も気前よく公開する方針。
ポップ、クール&ダークな独特の世界の中にいると、テレビ番組で現世の人間に囲まれていた時の違和感がありません。
派手な悪魔のような衣装に包まれた、ルネッサンスあたりの絵画に出てくるエンジェルのような外見も、
見慣れるとキャラクターもののように愛着が湧いてきます。
時折、高音でフルフルとビブラートがかかるセクシー吐息まじりの、完璧にコントロールされたヴォーカルも
聴き慣れると妙に心地よく、中毒性が。
人は相反する要素(矛盾)をはらんだものに惹かれるといいますが、まさにそのパターンにはまった気がします。
見た中で一番強烈だったクリップは、Brigitte Fontaine(ブリジット・フォンテーヌ)の“Kekeland”とのコラボレーション。
コミック的という点で、2人の世界は遠くないのか、Mがブリジット・フォンテーヌの世界にいても違和感なし。
異星人のような坊主頭のブリジット、悪魔風M字頭のエムが、幼稚園児の遠足のように仲良く楽しげに歌うクリップは、この上なく濃厚です。
言葉遊び、Mという名前
Mという恐ろしく短いアーティスト名は、Je dis aimeという曲名にも現れているように、フランス語の aime(エム、愛す)にかけているようです。
外見とあいまって、フランスでは、愛をふりまくスーパーヒーローなんて言い方をされたりもしていました。
彼の曲のタイトルや歌詞は、ユーモアと言葉遊びだらけ。
父は歌手・作曲家のLOUIS CHEDID(ルイ・シェディッド)、
母はジャーナリスト、祖母ANDREEは若い頃ダンサーを夢見ていた詩人。
Mは、特にジミ・ヘンドリックスに影響を受けていると語っていましたが、
音楽一家に生まれ、言葉と音楽に囲まれた家庭環境の影響は大きいだろうと思います。
兄弟にもミュージシャンがいます。
コラボレーション、映画音楽
ARTHUR H(アルチュール・アッシュ)との共演では会場中を笑わせていました。
Vanessa Paradis(ヴァネッサ・パラディ)のアルバム“BLISS”をプロデュースしたり、父Louis Chedidのアルバムにギター参加したり、Jane Birkin(ジェーン・バーキン)のアルバム“A lA LEGERE”に参加したり、RATPの電車内広告用の公募詩の審査員に加わったりもしていました。多くのアーティストと共演しています。
ベース、ドラム、パーカッション等、幅広い楽器を自由に操るMの魔術にかかったように、
コンサートは大盛況で、受賞も多く、フランスでの人気は今後も続きそうです。
国外で知名度が上がらないのは、言葉遊びを多用した歌詞の面白さが伝わりくいせいなのか…
筒井康隆などの言葉遊びが多い小説があまり翻訳されていないのと同じで、もったいない気がします。
映画音楽もたくさん担当していて、ヴァンサン・ペレーズが監督した映画 “PEAU D’ANGE(天使の肌)” の
CELINE B. とのデュオ曲 “J’AI UNE PENSEE” は、フランスでよくかかっていました。
メランコリックで透明感・浮遊感があり、頭の中で鳴り続けるような、好きな曲です。
SYLVAIN CHOMET(シルヴァン・ショメ)監督のアニメ映画
“LES TRIPLETTES DE BELLEVILLE(BELLEVILLE RENDEZ-VOUS ベルヴィル・ランデブー)”のテーマ曲も話題になりました。
作詞はMとSYLVAIN CHOMET監督、作曲はBenoit Charest。
ジャンゴ・ラインハルトを思わせるジャズ・マヌーシュ(Gipsy Swing)風の小気味いいギターに、
Mの軽やかなヴォーカルが絶妙で、ちょっと不気味なくだりもスパイスになっているcoolな曲です。
映画もおもしろく、ヴィンテージ感ただよう渋い色使い・音楽・雰囲気、独特の強烈な絵と、
もったり溶けるような動き、絵に負けないくらい強烈な性質を持つキャラクターたち、突飛なストーリーで、
子供より大人の方が楽しめる作品のような気がします。
アニメ映画“Un monstre à Paris(モンスター・イン・パリ)”での
Vanessa Paradisとの共演曲 “La Seine” も最高です。
映画のフランス語版では、この二人が声優として主役を務めています。
YouTubeで二人が共演した時、「ラジオからMの曲が流れてきて、最初女性かと思った。いいなと思って連絡取ってもらったの」
「その頃自分はそれほど売れてなかったのに、きっかけをもらって嬉しかった」と話していました。
M (Matthieu Chedid) エム、マチュー・シェディッド ディスコグラフィー
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Belleville
Rendez-vous
DVD
天使の肌 DVD





