”Deauville Sans Trintignant” VINCENT DELERM

映画「男と女」Un homme et une femmeを下敷きにした曲です。映画のような雰囲気が気に入ったので、おおざっぱに歌詞を訳してみました。

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VINCENT DELERM ヴァンサン・ドレルム

VINCENT DELERM / ヴァンサン・ドレルム

文学的、ヌーヴェルヴァーグ映画的 ★4

ヴァンサン・ドレルムの音楽は、映画のようです。
店名や人名などの具体的な固有名詞を織り交ぜた歌詞も、街の風景を背景にして日常生活を描くヌーヴェルヴァーグ映画を思わせます。
ヴァンサン・ドレルムは「日常生活の中の小さな出来事は、政治や社会レベルとは別問題だけど、同じくらい大切だ」というようなことを話していました。これもやはりエリック・ロメールなどの初期のフィルムに通じる気がします。

例えば、[10]DAUVILLE SANS TRINTIGNANT(=トランティニャンのいないドーヴィル)。雨の日、フランス北部の海沿いの街ドーヴィルで過ごす倦怠感に満ちた男女の様子を描いています。(→試訳
タイトルで分かるように、下敷きになっているのはクロード・ルルーシュの映画「男と女」で、映画中のジャン=ルイ・トランティニャンのモノローグが曲の中に取り入れられています。
歌詞に細かい情景描写はありませんが、映画を見た人なら、物憂いブルーに包まれたドーヴィルの情景が思い浮かぶはずです。映画で一番印象深いドーヴィルのシーンはこうです。

モンテカルロ。カーレースで優勝した後パーティーに出る「男」のもとへ届く「愛しています」の電報。
彼は再会の場面を想像してせりふを練りながら、レースで使ったスポーツカーのまま「女」のもとへ走るが、アパートに着くと彼女はいない。キザなせりふもそっちのけで、せこい手を使って大家から居所を聞き出し、ほの暗いドーヴィルの海辺で、彼女(+男の息子と女の娘)を見つける。
そこで子供のように楽しげにスポーツカーのヘッドライトを明滅させて合図を送ると、女(と子供たち)が気づいて駆け寄ってくる。
テーマ曲をバックに、抱き合いながらクルクル回転する2人(子供2人も同じく回転)…。

軽く笑えるシーンも多い、洒落た映画です。フランスではシネフィル(映画好き)と中年以上の世代以外にしか知られていません。(若い日本人が昔の日本映画を知らなかったりするのと同じでしょう。このヴァンサン・ドレルムの曲のヒットで少しは知名度が上がったかもしれませんが…。)

若いアーティストがこの映画を持ち出してくるなんて面白いなと思いましたが、それもそのはず。
彼はかなりの映画好きで、大学の文学部(修士)ではフランソワ・トリュフォー研究をしていたんだそうです。ちなみに父親は作家のフィリップ・ドレルムです。

[1]FANNY ARDANT ET MOI”=ファニー・アルダンと僕(◆YouTube)など、映画関連の名前が出てきますし、
[6]COSMOPOLITAINには、キシェロフスキ監督映画でおなじみの女優IRENE JACOB イレーヌ・ジャコブが参加しています。
ジャケットも映画っぽいですしね。

セルジュ・ゲーンズブールにも通じるごりごり感のある声と、わざとひねっているような癖のある歌い方には好き嫌いがあると思いますが、昔のフランスの雰囲気やヌーヴェルヴァーグ映画が好きな人なら楽しめるアルバムだと思います。


2002

1. Fanny Ardant Et Moi (◆YouTube
2. La Vipere Du Gabon
3. Chatenay Malabry
4. Categorie Bukowski
5. Tes Parents
6. Cosmopolitan(Irene Jacob)
7. Slalom Geant
8. Le Monologue Shakespearien
9. Charlotte Carrington
10. Deauville Sans Trintignant
11. L'heure Du The

VINCENT DELERM ヴァンサン・ドレルム ディスコグラフィ

◆VINCENT DELERM ヴァンサン・ドレルム(ドゥレルム)

映画、文学的・・・

日常の小さなことを綴った「ビールの最初の一口とその他のささやかな楽しみ」で知られる作家フィリップ・ドレルムの息子、ヴァンサン・ドレルム。
教師への道をたどりかけていた彼が「モノとして惹かれるから」といいつつピアノを始めたのは16、7歳の頃。
その後大学で映画について勉強し、ミュージシャンとしても活動するようになりました。「大学で演劇のために脚本を書いていて、それを歌にしてみたらうまくできた」のだそうです。
VINCENT FREREBEAUがしきるTOT OU TARD(ト・ウ・タール)レーベルと契約できたのは、同レーベルに所属していたTHOMAS FERSEN トマス・フェルセンのおかげでもあったようですが、学校をやめてからメジャーとして売れるまでピアノバーやタイ風レストランで地道に演奏生活を続けていたTHOMAS FERSENと比べると、はるかにトントン拍子。作詞・作曲、ピアノ、ヴォーカルで個性的な世界を作り、フランスで注目を浴びているアーティストです。

渋いゴリゴリ声でひねりながら歌うヴァンサン・ドレルムは、そのトマ・フェルセンや、アルチュール・アッシュ、セルジュ・ゲーンズブールと比べられます。
インタヴューで「ARTHUR Hに似てると言われることについて、どう思う?」と聞かれて、こう答えていました。
「声色か歌い方か、鼻が大きいせいかもね。」

2004年4月追記: 2年ぶりのアルバム”Kensington Square”が発売され、フランスで話題になりました。Keren Ann ケレン・アンやDominique A ドミニク Aが参加しています。

キーワード :ワールドミュージック、フランス、ヴァリエテ・フランセーズ、シンガーソングライター、男性ヴォーカル。

共通項アーティスト・・・トマス・フェルセンアルチュールHセルジュ・ゲーンズブール


◆VINCENT DELERM ヴァンサン・ドレルム ディスコグラフィー

Vincent Delerm [2002] tôt Ou tard
ligne
★4  ”Vincent Delerm”アルバムメモ
Kensington Square [2004] tôt Ou tard

日本盤
Les Piqûres d'araignée  蜘蛛の刺し傷 [2006] tôt Ou tard
Favourite Songs (live) [2007] tôt Ou tard
Vincent Delerm à La Cigale (live) [2007] tôt Ou tard
Quinze Chansons [2008] tôt Ou tard
  • オリジナルアルバムをそろえる時便利なように作った年代順ディスコグラフィ(オリジナルアルバムリスト)です。
  • ★(最高5)は私が聴く頻度・個人的お気に入り度です。
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Vincent Delerm sur MySpace いくつかクリップが見られます。
août 2010 更新
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