Unza Unza Time – Emir Kusturica&The No Smoking Orchestra
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踊り狂える東欧系音楽
エミール・クストリッツア監督の傑作『アンダーグラウンド 』(1995)を見て、あのズチャズチャ東欧系音楽が気になった人は多いのではないでしょうか。あの映画音楽はGoran Bregovicですが、
同監督の映画『黒猫白猫』(1998)の音楽担当は、Vojislav Aralica ヴォイスラフ・アラリカ, Dr. Nele Karajlic ネレ・カライリチ, Dejan Sparavalo デーシャン・スパラヴァロ。
ノー・スモーキング・オーケストラは、彼らとクストリッツア監督と監督の息子他からなるバンド。東欧音楽、バルカン/セルビアのジプシーのブラスに、ロックやラテンアメリカミュージック等の要素を混ぜた、悲哀を感じさせつつも何となく笑える音楽。このアルバム「ウンザ・ウンザ・タイム」では、遊び心あふれる彼らの音楽が堪能できます。
The No Smokingは元々、ネレ・カライリチが1980年に結成したバンドで、ルーツ音楽を基盤にして「punk-anarchic band(パンクでアナーキーなバンド)」を目指していたとのこと。
ファーストアルバム “Das ist Walter”(1984)のヒットやTV出演等で人気を博したものの、政治風刺が元でツアー中止・セカンドアルバム発禁に追い込まれ、メンバーも一部交代して一時は存続の危機に。1986年には、ヴェネチアとカンヌで受賞していたエミール・クストリッツア監督が(当時はベース担当で)加入し、やがて活動再開したグループは、アルバム3枚目”Pozdrav iz zemlje safari” (Greetings from safari land)、4枚目 “Male price o velikoj ljubavi” (A little story of a great love) をリリース。
紛争が勃発する前にベルグラードに移り、エミール・クストリッツアの息子も含めたメンバーで活動し、『黒猫白猫』の銀獅子賞受賞の際ベネチア映画祭に出たり、TV出演したり、外国でツアーが評判になったり。
このアルバムがリリースされる頃には、バンド名が映画ファンの目を引きそうな「エミール・クストリッツア&ノー・スモーキング・オーケストラ Emir Kusturica&The No Smoking Orchestra」になっています。
フランスの雑誌では巻頭特集が組まれたりもしていましたが、スペイン、イタリア、ベルギー等、多くの国でツアーを行って人気を博しているこのバンド。私はちょうどこのアルバムのリリースの頃、南フランス(ニース)の野外フェスティヴァルで見ることができました。
映画で見ていたあの独特の(腿を高く上げて走るような)ダンスや、盛り上げ上手なMC、目を疑うような曲芸的ヴァイオリン演奏等、パフォーマンスも最高に楽しくて会場を熱狂させるコンサートでした。
あの踊りは運動量が多く、アルバムを聞きながら真似するとすぐ息が切れ、調子に乗ると筋肉痛に…。あれをコンサートの間やり続けるとは、演奏テクニックだけじゃなく体力も超絶ものだなと思わされます。
Unza Unza Time: a film by Emir Kusturica & The No Smoking Orchestra
SUPER 8
ノー・スモーキング・オーケストラのツアーを収めた音楽ロード・ムービー(エミール・クストリッツアが自ら監督)
The No Smoking Orchestra 公式サイト
«ウンザ・ウンザ・タイム»エミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラ
2000 Stribor Kusturica(d, perc), Glava The head Markovski(bass, bas balalaika), Nenad Gajin Goce(g), Emir Kusturica(g), Her Dralle Draugentaller(keyboards), Alexander the Great Balaban(tuba), Nesho“Blackbird”Petrovic(sax), Zoki Miloshevic(accordion), Dejan Sparavalo(violin), Dr. Nelle Karajlic(Vo)