SAVEUR BRESIL – CLAIRE CHEVALIER
★ / 5
フランスとブラジルの幸せなマリアージュ
Claire Chevalier クレール・シュヴァリエ の南仏らしい陽気であたたかいヴォーカルと、Rosinha De Valenca ホジーニャ・ヂ・ヴァレンサの粋なギター&アレンジが心地良い、幸せ感漂うアルバム。
ホジーニャ・ヂ・ヴァレンサは、ジョアン・ジルベルトの女性版といわれることもあるギタリスト。セルジオ・メンデスの「ブラジル’65」にもワンダ・サーとともに参加しています。
長いブラジル生活の後に画家として母国フランスに戻ったクレール・シュヴァリエを、彼女がレコーディングに誘って生まれたのがこのアルバム。曲は全てフランスの有名曲で、ヴォーカルもフランス語。愛や過去の恋の切なさを歌った歌詞と憂いあるメロディの、つまりボサノヴァと相性のいい曲を選曲しています。
セルジュ・ゲーンズブール[2, 8]、ミシェル・ルグラン[5, 9]、詩人ジャック・プレヴェール作詞・ジョセフ・コスマ作曲[4]、アンリ・サルヴァドール[6]、シャルル・トレネ[11]、ピエール・バルーとフランシス・レイの[12]など、おなじみの曲ばかりで、フランク・シナトラやイヴ・モンタンの熱唱イメージがある「マイ・ウェイ」、「枯葉」も、温湿度低めでさらっと歌っています。アレンジは「ちょっとボサノヴァ風にしてみた」程度ではなく、フレンチソング(シャンソン)とブラジルの音楽が丁寧に織り交ぜられた、ノスタルジックな雰囲気のある心地いいアルバムです。
ジャケットは私が知っているだけで4種類あります。煙草を手に微笑む日本盤(SONY)ジャケット(上の画像)が一番中身の雰囲気に近くて好きです。歌詞カードのフランス語が間違いだらけなのも許せてしまいます。
下の帽子ジャケの方は、日本限定復刻盤らしいです。日本盤はわざとらしいくらい洒落たジャケットになることが多いので、ちょっと意外でした。オリジナルに近いのでしょうか。見方によっては60年代シネマ風にも見えなくないですが、あまりジャケ買い心がくすぐられません。邦題は上が「ブラジル風に」、下が「ボサノーヴァにのせて」です。
クレール・シュヴァリエは、16才の時、フランスの地元Marseille マルセイユのラジオでデビュー。彼女の歌に惹かれたモーリス・シュヴァリエに名を授けられ、以後「シュヴァリエ(シュバリエ)」と名乗ることになったそうです。
いろいろなアーティストのサポートをするうち、シャルル・アズナブールのツアーで訪れたブラジルに魅せられてそのままリオ・デ・ジャネイロに住みつき、ブラジルでアルバムを数枚発表。その後は画家として絵に専念し、作品がグルノーブル美術館に買い取られたりしているそうです。
Claire ChevalierのアルバムはバークレーとCBSから4枚ずつ、さらにブラジルでも10枚ほど出したらしいのですが、私はこの1枚しか見たことがありません。
フランスに住んでいる時ふと聴きたくなってパリのCD屋を徘徊しましたが、Claire Chevalier自体どこにもありませんでした。日本でもこのアルバムしか見たことがありません。結局これが一番のお気に入りのままになりそうな気もしますが、1枚だけなのはちょっと残念です。
2. Couleur Cafe [Serge Gainsbourg ]
3. Une Histoire d’Amour [Carl Sigman, Fr:Catherine Desage/Francis Lai] 4. Les Feuilles Mortes [Jacques Prévert/Joseph Kosma]
5. Les Moulins de Mon Coeur [Eddy Marnay/Michel Legrand]
6. Syracuse [Bernard Dimey/Henri Salvador]
7. Je T’Aimerai [Hubert Ithier/José Cana]
8. Ces Petits Riens [Serge Gainsbourg]
9. La Valse des Lilas [Eddy Marnay/Michel Legrand]
10. L’Absent [Louis Amade/ Gilbert Bécaud]
11. Que Reste-Il de Nos Amours? [Charles Trénet]
12. Un Homme et Une Femme [Pierre Barouh/ Francis Lay]
2.コーヒー・カラー
3.ある愛の詩 Love story
4.枯葉
5.風の囁き?華麗なる賭け
6.愛の国シラキューズ
7.君を愛す
8.些細なこと
9.リラのワルツ?ワンス・アポン・ナ・サマー・タイム
10.去って行った人
11.残されし恋には
12.男と女
«ボサノーヴァにのせて / ブラジル風»クレール・シュヴァリエ
1989 Claire Chevalier (vo); ROSINHA DE VALENCA (g, arr)
クレール・シュヴァリエ(シュバリエ)、ホジーニャ(ロジーニャ)・ヂ・ヴァレンサ