DUKE PEARSON – HOW INSENSITIVE

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ソロヴォーカル、コーラス、オーケストラ入りのふわっとあたたかい音楽

DUKE PEARSON – HOW INSENSITIVE

デューク・ピアソンのピアノのアルバムも好きですが、トム・ジョビンの曲"How Insensitive"をタイトルにしたこれは、特別感があって大好きです。
オリジナル曲、ボサノヴァ、ゴスペル、ジャズスタンダードが混ざったトラック名を見ると、統一感がないように見えるかもしれませんが、ジャケット写真に通じる独特の世界が完成しています。

全体を包むあたたかい雰囲気に加え、曲順も心地よさの秘密かもしれません。
「星影のステラ」で始まり、あたたかいコーラス3曲が続いた後、ランバート・ヘンドリックス&ロスを思わせるような粋なジャズコーラス[5]。そこでふっとピアノソロ[6]をはさんでしっとりさせた後、フローラ・プリムが歌うブラジリアンサウンドで湿度をぐっと下げて、再び大勢のコーラスであたたかさを出し、また静かにソロ…。
温泉、サウナ、冷水…のような絶妙な温度調整です。

[5]、[8]の作曲もしているジャック・マンノは、ランバート・ヘンドリックス&ロスとジョーンズ=ルイス・バンドを聴いて、ヴォーカルでビッグバンドをやったら面白いかも…と思い、17人からなるニューヨーク・グループ・シンガーズ・ビッグ・バンドを率いてこのアルバムに参加したそうです。
メインヴォーカルはアンディー・ベイと、フローラ・プリム(チック・コリアの"Return To Forever"にも参加しているブラジルの歌手)。デューク・ピアソンは、ピアノ、電子ピアノの他にフリューゲルホーンも演奏しています。
童話や幻燈を思わせるような、あたたかくて不思議な雰囲気のこのアルバム、特に冬の寒い日にぴったり。森の奥にある秘密の家の暖炉の前でのんびり…な気分が味わえます。

あまりみかけないので廃盤なのかな…と思っていたら再販された…と思っていたらまた廃盤に…。ダウンロードがあるのが救いです。趣味のいいアルバムをいくつも出したデューク・ピアソンが48歳で他界してしまったというのは本当に残念です。

1. Stella By Starlight (N.Washington-V.Young)
2. Clara (from the musical production Porgy & Bess) [D.Heyward-G.Gershwin]
3. Give Me Your Love [D.Pearson]
4. Cristo Redentor [D.Pearson]
5. Little Song [J.Manno]
6. How Insensitive (piano solo) [A.C.Jobim, Vinicius De Moraes, N.Gimbel]
7. Sandalia Dela
8. My Love Waits (O Meu Amor Espera) [D.Pearson-J.Manno]
9. Tears (Razao De Viva) [E.D.Dato]
10. Lamento [Jobim-V.DeMoraes)
1.星影のステラ
2.クララ
3.ギヴ・ミー・ユア・ラヴ
4.クリスト・リデンター
5.リトル・ソング
6.ハウ・インセンシティヴ
7.サンダリア・デラ
8.マイ・ラヴ・ウェイツ
9.ティアーズ
10.ラメント
BLUE NOTE

«ハウ・インセンシティヴ»

1969 Duke Pearson(p, elp,fh); New York Group Singers' Big Band (conducted by Jack Manno); Al Gafa(elg); Dorio Ferreira(g); Bob Cranshaw(b); Bebeto Jose Souza(b); Mickey Roker, Airto Moreira(d, perc); Andy Bey(vo on 2&3); Flora Purim(vo. on7&10)

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