映画”Un homme et une femme”

VINCENT DELERM ヴァンサン・ドレルムの”DAUVILLE SANS TRINTIGNANT”という曲は、クロード・ルルーシュ監督の映画「男と女」を下敷きにしていて、途中に主演のジャン=ルイ・トランティニャンのモノローグを入れています。(Lubieメモ*ANOUK AIMEEに書いています。
Anneの亡き夫役は、PIERRE BAROUH ピエール・バルー。ボサノヴァ好きなフランス人ミュージシャンで、この映画でもサンヴァ・サラヴァなどを演奏しています。
Anneと元夫の生活を描いた回想シーンは、どれも本当に幸せそう。アヌーク・エメとピエール・バルーは、この映画をきっかけに実生活でも結婚します。(魔法が切れてしまったのか、のちに離婚しますが。その後ピエール・バルーは日本に住んでいたこともあるそうです。)

続編「Un homme et une femme, 20 ans deja (1986) 」は、好みではないですが、ある意味、面白い映画です。プロデューサーとなったAnneが、娘を主演にして「男と女」で起きた出来事を映画化するという設定で、撮影の種明かしのようなことをしています。
20年経ってもANOUK AIMEEは相変わらず素敵。娘役のEVELYNE BOUIX(エヴリーヌ・ブイックス)はテレビをメインに活動する女優ですが、アヌークとよく似ていますね。
二人は、NADINE TRINTIGNANTが監督した”L’ILE BLEUE” (2001 TV) でも共演しています。ナディーヌはJEAN-LOUIS TRINTIGNANTの元妻で、娘で女優のMARIE TRINTIGNANTは彼らの娘です。

2003年8月、このTRINTIGNANT元夫妻をニュースで頻繁に見かけることになりました。マリー・トランティニャンが、ロックグループNOIR DESIRのBERTRAND CANTATとの喧嘩で殴られ、他界したからです。
急にいなくなってしまったマリーのニュースを聞いて、ふと「Ponette 」(1996) を思い出しました。小さな女の子ポネットが、母親が事故死したことを理解できず、会う方法を頑なに探し続け、最後に天国の母親に会って、ようやく事実を受け入れるというストーリーです。その映画で、可愛いポネットがママン、ママンと探しまわる天国の母親役が、マリー・トランティニャンだったんです。
脱線して悲しい話になりましたが…。ANOUK AIMEEは皺が増えたものの凛としていて、21世紀になっても舞台等で元気に活動しています。

そういえば「LA BONNE ANNEE (1973)」の邦題は「男と女の詩」ですが、「男と女」の続編ではありません。フランス語の原題の意味は、この映画のキーワードである「新年」です。LINO VENTURA リノ・ヴァンチュラ(アラン・ドロンともよく共演している渋い俳優)が主演する、全くの別物です。
「男と女」と同じくカラー/モノクロを切り替えているし、音楽はこの監督お気に入りのフランシス・レイだし、映画の中に「男と女」が出てくるし…と、つながりは濃密なんですが、二匹目のどじょう狙いな雰囲気を露骨にかもし出すとは…。さすが邦題。
原題と無縁の邦題をあげるときりがありません。関係者が興行的によさそうなものを相談して邦題を決めてるんだよ、と映画館で働く友人が言っていました。
1990年代以降は特に恋、愛、パリ、フランスなどをタイトルに入れると客足が伸びるという傾向が強かったそうで、どおりで似たような邦題が多いわけです。突飛で笑えるものもあるので、それはそれでいいのかもしれません。

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