GETZ AU GO GO – STAN GETZ

3.5 / 5
ライブ風の効果音入りスタジオ録音!?

ケニー・バレル、チェック・イスラエル、ほぼ無名だった頃のゲーリー・バートンなども参加していて、演奏自体はいいです。Cafe au go go での1964年8月のライヴ録音ということになっていますが、違うようですね。
たしかに、カーネギーホールでの「ゲッツ・ジルベルト #2」と聴き比べると、この『ゲッツ・オー・ゴー・ゴー』がライヴというのはどうも信じにくいです。

まず、会場の広がりを感じない、スタジオ録音っぽいクリアな音質。演奏中は雑音が一切なく不気味なくらい静かで、観客の反応は曲間だけ。拍手・歓声も必要以上に派手で、アメリカのホームドラマの効果音っぽい感じがします。
同時代の1961年のビル・エヴァンスのライヴ盤”Waltz for Debby”には、グラスのぶつかる音やざわめきがバックに入っていますが、大ホールならともかく、カフェやバーでのコンサートならその方が自然ですよね。
伴奏なしであたまから始まるアストラッド・ジルベルトのヴォーカルも、この数ヵ月後のカーネギーホールでのライヴ盤”GETZ/GILBERTO #2″と比べると、びっくりするほどリラックスしていて、魅力を発揮できています。

アストラッドの素人から偶然歌手になったという「逸話」も、作り事というのが真相らしいし、このアルバムも、ライブ風に見せかけているのかと思うと…ちょっと微妙な気分になります。
ウディ・アレンの映画で、TVホームドラマを作っている友人が「この方が一般ウケがよくて視聴率が上がるんだからいいんだ」と言いながら、録音されたニセモノの笑い声を足すのを見て、ウディ扮する主人公が憤るシーンがあったのを思い出しました。

1.Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars) コルコヴァード
2.It Might as Well Be Spring 春の如く
3.Eu E Voce (Me and You) エウ・エ・ヴォセ
4.Summertime サマータイム
5.Only Trust Your Heart
オンリー・トラスト・ユア・ハート
6.Singing Song ザ・シンギング・ソング
7.Telephone Song ザ・テレフォン・ソング
8.One Note Samba ワン・ノート・サンバ
9.Here’s That Rainy Day 雨の日に
10.6-Nix-Pix-Flix シックス・ニックス・ピックス・クリックス
Verve

«ゲッツ・オー・ゴー・ゴー»

1964 THE STAN GETZ QUARTET FEATURING ASTRUD GILBERTO
Stan Getz(ts), Gary Burton(vb), Astrud Gilberto(vo/1,2,3,5,7,8),Kenny Burrell (g/1,2,3,7),
Gene Cherico(b/1,2,3,5,6,7,10), Chuck Israels(b/4,8,9),
Helcio Milito(ds/1,2,3,7), Joe Hunt(ds/4,5,6,8,9,10)

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