LIVE AT BASIN STREET EAST – LAMBERT, HENDRICKS & BAVAN

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ボサノヴァも入って、いつもよりのんびり

1962年9月にニューヨークのクラブでLAMBERT, HENDRICKS&BAVAN (LHB)が行ったライブの録音。
LHBは、LAMBERT,HENDRICKS & ROSS (LHR)のANNIE ROSSが1962年に脱退した後、代わりにセイロン出身のロンドンっ子YOLANDE BAVANを加えたユニットですが、LHRの陰に隠れてしまっているような気がします。

LHRもLHBも、楽器によるジャズの名演に歌詞をつけてヴォーカルで再現する「ヴォーカリーズ」が基本。
イギリス人のアニー・ロスは、頭と舌の回転が速くて遊び心があるキュートな女の子を思わせる歌手で、容姿も魅力的です。
そんなアニーの後を継いだヨランド・バヴァンは、当然アニーと比較されたはず。自由自在に歌いまくるアニーのフル回転な歌唱を期待して聴いた観客は、物足りなさを感じたかもしれません。
007のジェームズ・ボンドがショーン・コネリーからジョージ・レイゼンビーに代わった時の当時の観客の反応を考えてもそうだし、後継者は、元メンバー以上の個性や実力を見せつけないと認めてもらえないというハンデがありますね。
LHRのアルバムから聴き始めた私も、アニーがいなくなったと知り、寂しく感じました。

でも、LHBのアルバムを聴いていくと、絶妙のスイング感とユーモアが魅力のランバート、ヘンドリックスに、漫才でいうボケが加わった感じで、新鮮なんじゃないかな、と思えてきました。
ヨランドはたまに「壊れちゃったのか?」という時もあるほど、とぼけた味があって結構面白いです。

そう考えると、このアルバムでボサノヴァの名曲”Desafinado”が取り上げられているのも意味があるように思えてきます。ヂサフィナードは、「調子はずれ」というような意味で、歌はうまいへたじゃなく心だ、というボサノヴァの特性を表したような歌詞の曲です。
アニーほど自由自在で切れ味が良く「うまい」というのではないけど、ヨランダは味があるでしょう?というメッセージがこもっているのかな。気のせいかもしれませんが。

このアルバムではボサノヴァのスタンダード曲をもう1曲取り上げていますが、曲の前に、
ボサノヴァとはブラジル語で”New thing”という意味で、「ワン・ノート・サンバ」はアントニオ・カルロス・ジョビンが「黒いオルフェ」(映画)のために作った曲です、と説明しています。
このアルバムは、1962年2月録音のスタン・ゲッツのジャズ・サンバ・シリーズ第1作目がヒットした7ヶ月後のものですから、ちょうどブラジル音楽がアメリカで流行しつつある時期だったんでしょうね。

この3人のライブ盤”Havin’ a Ball at the Village Gate”(Live)は遊び心全開。他の2人に負けず、ヨランドもリタ・ミツコのようなきわどい裏声や、男の子のような声で歌ったりしていて楽しいです。

1.This Could Be the Start of Something Big
2.Shiny Stockings
3.Slightly Out of Tune (Desafinado)
4.Doodlin’
5.Cousin Mary
6.April in Paris
7.Feed Me
8.One Note Samba
9.Melba’s Blues
10.This Here
11.Swingin’ Till the Girls Come Home

«ライブ・アット・ベイズン・ストリート・イースト»

1962 DAVE LAMBERT, JON HENDRICKS, YOLANDE MARI WOLFFE BAVAN

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